2010年11月28日日曜日

第54回ヴェネチア・ビエンナーレの企画展のテーマ

2011年開催の第54回ヴェネチア・ビエンナーレの企画展のテーマが決定しました。「ILLUMInations」です。
総合ディレクターであるビーチェ・クーリガーによると、「ビエンナーレは現在の国際的芸術の進化が世界的に普及するのにもっとも重要な”イルミネーション”の場です。ILLUMInationsというテーマは、文字通り、グローバル化した世界でそのような進化の重要性に気がつかせることができます。私が特に関心を持っているのは、鑑賞者と対話しようとしている芸術家たち、現代芸術が見られるものであるということによって慣習に挑戦しようとしている芸術家たちの熱意です。」とのこと。
「ILLUMInations」という言葉に隠れているnations(国民、国家)を目立たせようと小文字にしていますね。グローバリゼーションさかんな世の中で、「国」に今一度光りを当てるということでしょうか? ヴェネチア・ビエンナーレには各国別の展示館があり、国別に展示をするということはもはや古い手法ではないかという議論がなされてきました。このようなことを踏まえて、クーリガーは次のように言っています。「ビエンナーレのパヴィリオンは時に時代錯誤であると考えられてきましたが、私は反対に、アイデンティティの問題を映し出すものでありうると考えています。」「ILLUMInationsという言葉の中にあるnationsは現在の世界中の芸術にとってメタファーとして捉えられるでしょう。」
そして、すべての参加アーティストに今回のテーマに関して5個の質問をするとのこと。
また、今回はティントレットの作品が鍵になるとのこと。ティントレットはヴェネチア派の画家で、ヴェネチアにたくさん作品がありますが、この16世紀の画家がヴェネチア・ビエンナーレという現代芸術の場に登場することが興味深いですね。
「今回、ヴェネチアの画家であるティントレットの作品が重要な役割を担います。ティントレットもまた、ルネサンス以来の古典的秩序を気にかけないコンポジションで描くことによって彼の時代の慣習をひっくり返そうと考えていた人でした。彼のそのような、合理的ではなく恍惚とした光に関心を持っています。ティントレットの存在は、局所的な文脈との芸術的・歴史的・感情的な関係を築くことになるでしょう。」
ティントレットの作品はヴェネチアのアカデミア美術館、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会などにありますので、それらを見つつ、ビエンナーレを楽しむということができます。

詳細は以下をご参照ください。
http://www.labiennale.org/en/art/news/illuminations.html?back=true

0 件のコメント:

コメントを投稿